純粋な黒
全く持って純粋な黒などと言うものは
この世にはないんじゃないかしら。
漆黒という言葉があるでしょう?
漆器は朱の下塗りをして、何度も何度も塗っては磨き、を繰り返して
やっと美しい黒ができるの。
喪の着物も最初に赤、もしくは藍で染めた上に黒を重ねて
やっと美しい黒にするの。
お洋服も黒に染めるのはなかなか難しくて2回くらいは染料を使わないといけないのよね。
夜の闇だって、カーテンを引いた部屋だって、私たちの目はすぐに慣れてしまって、
動く影、僅かな光、あろうものなら目ざとく掴んでしまう。
なったことないのだけど全盲の方はどうなのかしら?
景色が見えなくても瞼の裏にいろんな色を隠していたりしないかしら。
行ったことないのだけどブラックホールって本当に「黒」なのかしら。
私たちの目は光を見続けられないように闇も見続けられないのじゃないかしら。
どうせ移ろうものならば、
触れたら濁ってしまいそうな白よりも
なんでも飲み込んで艶を増す黒でありたい
真っ白く照らして眼を眩ませる光よりも
いつのまにか忍び寄って包んでしまう闇でありたい
純粋に
そう思う。
微笑合掌